中国の人権問題などに抗議するため、来年2月の北京冬季五輪について「ボイコット」を含めた厳しい対応をとるよう台湾当局に求める決議案が、23日までに台湾の立法院(国会に相当)に提出された。台湾独立志向の野党、時代力量が提出したもので近く審議される。同党の陳椒華主席は「人権問題は全ての政党が関心を持つべきテーマで、全会一致の可決を目指したい」と話している。
決議案は、中国の香港やチベット、新疆ウイグル自治区などで人権弾圧が深刻化していることを指摘し、中国の人権問題を理由に「北京五輪のボイコット」や「外交的ボイコット」の動きが欧米で加速していることに触れている。その上で、五輪に参加する台湾選手が中国当局に「台湾独立分子」として拘束される危険性があるとしている。
決議案づくりに参加した人権活動家、楊憲宏氏は「台湾を中国の一部だと主張する中国は、台湾人に中国の国内法を適用する可能性が高い。五輪選手のこれまでのSNSでの発言が拡大解釈され、『台湾独立分子』として逮捕されるリスクを考えなければならない」と強調した。
決議案は「中国の人権状況と国際社会の五輪ボイコットの動きを踏まえ、五輪参加の是非を真剣に判断し、正しい対応をするよう求める」としている。「五輪ボイコット」を直接求めなかったのは、親中派野党、中国国民党の反発を考慮したためだという。
台湾は1980年のモスクワ五輪を日本や米国とともにボイコットしたが、その後の全ての五輪に参加した。一方で、スキーやスケートなどの冬季スポーツの競技人口が少ないため、冬季五輪への関心は比較的低い。台湾メディアによると、北京五輪に参加する可能性のある選手は8人という。
原文出處 產經新聞