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韓国新統一相に日米との連携訴える国際政治学者 拉致など人権問題で対北圧力強化へ

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は29日、対北朝鮮政策を主管する統一相に国際政治学者の金暎浩(キム・ヨンホ)・誠信(ソンシン)女子大教授(63)を指名した。金氏は北朝鮮や中国の脅威に対応するため日米との安全保障協力の強化や、北朝鮮に人権問題で圧力を加える必要性を訴えてきた。日米との連携を重視する尹氏の外交方針を具現化した人事といえ、拉致問題を巡る日韓協力も深化が期待される。

金氏は尹政権と同じ保守の李明博(イ・ミョンバク)政権時代の2011年に大統領府で対北政策を担う統一秘書官、12~13年に外務省の人権大使を務めた。今年2月からは統一相傘下の諮問組織の委員長を担っている。大統領府は29日、こうした経歴を挙げ、「原則に基づいた対北政策や一貫性のある統一戦略を進めていく適任者だと判断した」と説明した。

「原則」とは、自由民主主義や人権、法治といった価値を共有する日米や欧州各国と連帯し、その価値を守っていくという尹氏の外交・安保指針を指すようだ。住民の人権を蹂躙(じゅうりん)する独裁体制の北朝鮮はその対極にあり、尹氏は北朝鮮の人権問題の解決に積極的に取り組む姿勢を鮮明にしてきた。

金氏は29日、指名を受け「自由民主的な基本秩序に立脚した平和統一策」を準備する考えを示した。金氏が就任すれば、これまで南北協力が中心だった統一省が北朝鮮の人権問題や民主化を主要課題に置く組織に変革される可能性がある。

金氏は慶応大に交換教授として赴任した経歴があり、拉致問題を長年取材する日本人記者とも意見交換を重ねるなど日本人拉致問題にも理解が深い。自身のユーチューブ番組を持ち、安保情勢に関する持論を積極的に発信してきた。権寧世(クォン・ヨンセ)現統一相が既に日本政府に拉致問題などを定期的に話し合う対話枠組みの設置を提案しているが、金氏の就任で拉致を巡る日韓連携も一層深まりそうだ。

金氏が「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権の打倒」に言及してきたことから、対北融和を重視する野党は「極端な南北対決主義」と金氏を批判する。閣僚候補者に質疑を行う国会の人事聴聞会で野党側の攻撃も予想される。

原文出處 產經新聞