分類
NEWS

韓国企業は豪華本社ビル志向 1兆円で土地入手の現代自動車は10年経ても未完成

韓国企業のオーナーは「本社ビルの立派さ」に、とてもこだわる。ズバリ言えば「見栄(みえ)」のためだ。現代(ヒョンデ)自動車グループが2014年、韓国電力の本社跡地(約8万平方メートル)を10兆5500億ウォン(当時レートで1兆円強)で入手したのは、まさにそれだった。

30以上ある子会社の本社機能もすべて収容する「グループ本部ビル」は、ソウルの一等地にあり、韓国で最も高い105階建てでなければならない。そのための用地は、ここしかない―という発想だった。

が、それから10年。建設予定地はまだ、支柱を立てるための「つぼ掘り」作業中だ。

韓電跡地の入札で、2番札のサムスン電子は時価評価を上回る4兆ウォン弱。現代自グループの落札価格は時価の3倍だった。

容積率など各種土地利用規制の解除のため、ソウル市への法定の寄付採納があり、取得税があり…で、実際の購入費用は15兆ウォンとされた。その土地を10年間も遊ばせておくとは、すごい企業だ。

日本のメーカーには「本社ビルにカネをかけるべきではない」とする〝トヨタ型常識〟が行きわたっている。オーナーが豪華本社ビルのために、こんな投資をするとなったら、労組も株主も猛反対するだろう。

しかし、現代自の戦闘的労組は反対しなかった。どうやら彼らも「豪華な本社ビル」に憧れている。

現代自グループの傘下には、建設業界トップの現代建設がある。が、超高層ビルの設計はできない。

海外の設計会社の選定、ソウル市との細部協議、建設資材高騰に伴う設計の変更…。当初は展示場棟や付属商業施設も含めて23年完工としていたが、24年2月には「105階ではなく、55階ビル2棟」にグランドデザインが変更された。建設費の節約だ。

すると建設許認可権限を持つソウル市が異議を唱えた。

「ランドマークとなる105階ビルは市の都市計画とマッチしていたが、55階ビル2棟では話が違う。再協議が必要だ」と。

裁判沙汰になったら、建設計画はさらに延伸する。

一方、韓国電力の本社は全羅道(チョルラド)に移転し、土地売却益は借金返済に充てられた。それもつかの間、文在寅(ムン・ジェイン)政権の「電気代の値上げ認めず」政策により、24年3月末の負債は自己資本の5倍超。だが、売れる土地はもうない。韓国の「土地神話」のこぼれ話だ。

原文出處 產經新聞