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マンション管理費が2万円突破、首都圏で初めて…サウナなど共用施設の充実や人件費の増加で

分譲マンションの維持管理費が上昇している。2023年の首都圏の平均管理費は初めて月2万円超となり、修繕積立金と合わせると3万円に迫る。共用施設の充実や人件費の増加などが要因で、物件価格の高騰とともに購入のハードルを上げている。

シャトルバス
不動産調査会社の東京カンテイによると、23年に首都圏の新築分譲マンションの平均管理費(70平方メートル換算)は前年比4・1%増の月2万358円となった。管理費を押し上げているのは、住民が共同で使える共用施設の多様化だ。

テレワークに対応したワークスペース、屋上のテラス、来客者が泊まるゲストルーム――。日鉄興和不動産が今秋、東京都文京区で売り出す大規模マンション「リビオシティ文京小石川」(全522戸)は、共用施設の充実が売りだ。

同社の井上慎也再開発推進部長は「大規模物件ならではの多彩な共用施設に注目してほしい」と話す。最寄りの地下鉄駅まで徒歩10分の立地だが、朝の通勤・通学時間帯には管理組合がシャトルバスを運行。マンションと最寄り駅を往復する。

大和ハウス工業は昨年9月、共用施設に本格的なサウナを設けた分譲マンションを東京都昭島市で発売。全481戸が完売となる人気ぶりだった。

外部委託
共用施設の維持管理費用は玄関やエレベーターなどと合わせ、マンションの所有者から徴収する管理費でまかなわれる。最近ではスポーツジムを備えたり、フロントにコンシェルジュが常駐したりする物件も珍しくない。

東京カンテイによると、東京23区の23年の管理費は平均月2万4165円と、10年前から約6000円増加した。「管理にかかる人件費の上昇も費用を押し上げている」(高橋雅之主任研究員)という。管理業務を外部に委託する「第三者管理方式」を採用するマンションが増えていることも上昇の背景にある。

修繕積立金も
一方、将来の大規模修繕に備える修繕積立金も上がっている。23年は首都圏で前年比9・9%高い平均月8729円となった。建築資材や人件費など修繕にかかるコスト増が理由で、管理費と合わせると月の負担は2万9087円に上る。

修繕積立金はマンション購入時には低めに抑えられているが、年数がたつと段階的に増額されるケースが多い。国土交通省の調査では、修繕積立金が計画に対し不足しているマンションは全体の36%に上り、物件によっては今後さらに負担が重くなる可能性がある。

このところ新築マンション販売価格は上昇を続けている上、「金利ある世界」の到来で住宅ローン金利が上がっていくことも想定される。消費者には維持管理コストも含めた負担額の見極めが求められそうだ。

ニッセイ基礎研究所の吉田資主任研究員は「マンションを選ぶ際は物件価格に目が行きがちだが、毎月かかるコストを把握した上で購入を決めることが重要」と指摘している。

原文出處 讀賣新聞