ロシアのプーチン大統領と親交の深いドイツのシュレーダー元首相(78)に対し、ドイツ連邦議会の予算委員会は19日、公金で賄われている同氏の事務所経費の停止など「特権の剝奪(はくだつ)」を求める動議を可決した。同氏はロシアの複数の資源会社の役員を、ウクライナ侵攻後も続けている。こうした姿勢が元首相としての「職責を果たしていない」とみなされた。
ドイツでは慣例で、首相は退任後も事務所や職員が公金で賄われている。国を代表して各種行事に参加するといった職務のためだ。連邦議会によると、シュレーダー氏には年間40万ユーロ(約5400万円)が支払われているという。
動議は社会民主党(SPD)など連立与党3党が提出し、賛成多数で可決された。「元首相への特権は自動ではなく、望まれる職責を果たす場合のみ与えられる」との趣旨で、シュレーダー氏の事務所や職員、運転手らへの公金支出が止められることになる。年金や身辺の警護は、止められる「特権」からは除かれた。
原文出處 朝日新聞