鹿児島・徳之島の風光明媚(めいび)な砂浜で、沖合の波間に無数の黒く小さな粒が見え隠れした。超望遠レンズをのぞくと、こちらに向かって波の上を走る自衛隊や米海兵隊のボートが見えた。それぞれに銃器で武装した隊員が乗っている。
離島防衛を担う陸上自衛隊水陸機動団と米海兵隊は2~3月にかけて、九州や沖縄で離島奪還訓練「アイアン・フィスト(鉄の拳)」を行った。この訓練はこれまで米国で行われていたが、今回初めて日本国内で実施された。尖閣諸島や台湾有事などを念頭に、より実地に近い環境で訓練を行う狙いがあったとみられている。
ボートが海岸に到達すると、砂浜に隊員が一斉に展開し水陸両用車AAV7も矢継ぎ早に上陸した。上空を日米のオスプレイが飛び交い、沖合には海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」や米海軍のドック型揚陸艦「アシュランド」も展開している。陸海空で次々と展開する部隊の迫力に、思わずカメラを構える手に汗が滲(にじ)んだ。
アイアン・フィストについて水陸機動団長の梨木信吾陸将補は「一段と厳しさを増す国際情勢において、わが国および周辺地域の抑止力、対処力の強化を図る上で大変意義がある」と強調した。
原文出處 產經新聞