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志村さんの訃報、通勤などの自粛に影響か 東京大が調査


新型コロナウイルスの感染拡大が進む地域においては、政府が出した緊急事態宣言に加えて、タレントの志村けんさんの死去が通勤自粛に影響を与えた可能性があることが、広井悠・東京大准教授らの研究チームの調査でわかった。ただ、通勤や通学を自粛している人は3割にとどまり、政府が求める「最低7割減」を実現するには、休業補償などの対策が必要なことが示された。

調査は、はじめに緊急事態宣言の対象となった7都府県と、比較のために愛知県など4道県に住む18~79歳の男女2200人にウェブ上で実施。2月10日から4月12日までの間に起きた世界保健機関(WHO)のパンデミック認定や五輪の延期発表、緊急事態宣言などの出来事を示し、行動がどう変わったかを尋ねた。

その結果、7都府県では通勤・通学を自粛する人の割合は、2月10日から3月23~29日までは2%から9%となだらかに上昇していたが、志村さん死去の報道があった3月30日~4月5日に13%、緊急事態宣言が出された4月6~12日に23%に増え、13日以降は28%になった。

当初は対象ではなかった北海道などの4道県でも行動自粛は進んでいたが、7都府県のほうが、緊急事態宣言や志村さんの訃報(ふほう)の時期に増加していた。個人のリスク意識に左右される「買い物」を自粛する人も増加傾向だった。

また通勤を自粛していない人に、どうすれば自粛するかを尋ねたところ、「外出に罰則が適用されたら」「国や自治体が禁止を指示したら」「仕事の休業に十分な補償がもらえたら」など、より規制や支援策が強まった場合を挙げた人がいずれも40%を超えた。

「重症の感染者に医療現場が対応できなくなったら」は最も低く20%程度だった。一方で「何があっても外出をやめない」という人も9%いた。

新型コロナウイルスの感染が拡大していない地域への「疎開」については、ほとんどなかった。高齢者や持病がある同居家族との世帯分離などもほぼなかったが、4割が「できるだけ会わないようにしている」と答えた。

広井准教授は「政府の緊急事態宣言とともに、誰もが知っている人の死のインパクトが大きかったことがうかがえる。安倍晋三首相は事業者に出勤者を最低でも7割減らすよう要請しているが、休業の補償の充実や企業のテレワークの強化などさらなる施策を進めれば、より出勤者が減る可能性がある」と話している。

原文出處 朝日新聞