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経産省の存在感低下 政権内の力学に変化―菅内閣


菅内閣の発足を受け、政権内の力学は大きく変化しそうだ。首相官邸主導の政策決定は変わらないものの、安倍政権下で権勢を振るった経済産業省の存在感は低下する見通しで、代わってどの省庁が影響力を強めるかに注目が集まる。「政高党低」と言われた党との関係も変わる可能性がある。

「内閣の方針や大臣の指示の下、行政のプロとしての誇りを胸に積極的に提案し、果敢に行動してほしい」。菅義偉首相は18日、首相官邸に各府省庁の事務次官を集め、菅内閣でも官邸主導を徹底すると宣言した。関心を集めるのは菅首相がどの省庁の意見に最も耳を傾けるかだ。

安倍内閣では官邸詰めの「官邸官僚」が影響力を行使した。政務担当首相秘書官を務めたのは経済産業省出身の今井尚哉氏。首相の最側近として同省出身の長谷川栄一内閣広報官、佐伯耕三首相秘書官とタッグを組み、経産省と連携して経済成長重視の政策を進めた。

影響は多方面に及び、安倍晋三前首相が中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への協力にかじを切ったり、ロシアと経済協力を進めたりしたのも、外務省ではなく経産省の発案とされる。新型コロナウイルスの感染拡大後、安倍前首相は当時の菅官房長官を素通りし、今井氏らと相談して全国一斉の学校休校やマスク配布を決めたこともあった。

首相交代を受け、長谷川、佐伯両氏は官邸を去った。今井氏は参与としてしばらく官邸に残る方向だが、新しい政務担当の首相秘書官は菅事務所の新田章文氏。内閣広報官には総務省出身の山田真貴子氏が就任した。

事務方トップで警察庁出身の杉田和博官房副長官は再任。事務の首相秘書官には厚生労働省出身が加わったものの、今のところ官邸スタッフに特定省庁への偏りはない。

経産省幹部は「安倍前首相サイドとは気軽に連絡が取れ、意見も通りやすかったが、これからはそうはいかない」と影響力の低下を認める。政府・与党内では「財務省の影響力が強まるのではないか」「どの省庁にも偏らず、菅首相が独断で政策を進めていくのでは」などと臆測が飛び交う。

菅政権では政府と党の関係も変化しそうだ。最大派閥出身の安倍前首相と違い、無派閥の菅首相は党内基盤が弱い。内閣支持率が高いうちは官邸主導も可能とみられるが、世論の支持が弱まれば党の影響力が強まりかねない。閣僚経験者の一人は「菅1強、政高党低とはならない」と語った。

原文出處 JIJI.COM