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働き手が足りない・マスク着用どう促すか…海外客続々、浮かぶ課題


新型コロナウイルスの水際対策が11日から緩和され、観光地ではかつてのにぎわいの回復に向けて期待が高まっている。円安を背景に海外からの予約が殺到している宿泊施設がある一方で、コロナ禍で人手不足が深刻化し、働き手の確保に困るホテルも。外国人客にマスク着用をどう促すかなど感染対策も課題となっている。

「街に活気が戻ってきた」。東京・浅草で人力車による観光案内を営む「東京力車」の統括責任者、及川唯さん(29)は11日、外国人客が増えてきた街を見つめ、ほおを緩めた。

同社の人力車は、多いときで1日70~80組が利用していたが、コロナ禍で外国人客が姿を消し、売り上げがほぼゼロの月もあった。及川さんは「これからは英語を使える車夫も増やしたい」と意気込む。

日本に住む外国人も水際対策の緩和を歓迎する。この日、浅草を訪れたドイツ人の会社員(39)(東京都江戸川区)は「学生時代の友だちが10人くらい日本に来ることになっている。たくさん観光地を案内してあげたい」と再会を楽しみにしていた。

仲見世通りで浮世絵専門店を営む女性(62)は「円安なので、外国人にたくさん買ってもらい、3~4割に落ち込んだ売り上げが少しでも増えれば」と期待を寄せた。

一方、水際対策の緩和で、働き手の確保が難航する宿泊施設もある。

上質なパウダースノーが海外スキーヤーに人気の北海道のニセコ地域( 倶知安くっちゃん 町、ニセコ町)。あるホテルの総支配人は、「英語ができるスタッフが全然足りない」と焦りを見せる。

政府が9月下旬、緩和策を発表するやいなや、オーストラリアなどから予約が殺到。年末年始は、2019~20年シーズン以来の「満室」となった。

しかし、コロナ禍で外国人客が激減し、ピーク時に50~60人いた外国人スタッフの多くが離職。今月から急きょ募集を始めたが、人材獲得競争が激しく、「十分に確保できるめどは立っていない。日本人スタッフもギリギリの状態」という。

ニセコビレッジスキーリゾート(ニセコ町)は、コロナ禍で営業を休止していた系列ホテル1か所を今季から再開するが、担当者は「例年に比べ人が集まりにくい」と話す。

帝国データバンクの今年8月の調査では、旅館・ホテル事業を営む企業の72・8%が「正社員が不足」と回答。1年前から45・5ポイント増え、業種別で最も多くなっている。同社担当者は「旅館・ホテル業はコロナ禍で『不安定な職業』とみられ、社員を増やそうとしても、簡単にはいかない」と指摘する。

公共交通機関や宿泊施設では、屋内でのマスク着用が不要とされる欧米などから来た外国人客に、どう着用を促すかも課題となる。

羽田空港と都心を結ぶ京浜急行電鉄は、入国したばかりの外国人が多く利用するため、車内でのマスク着用を促すメッセージを英語などで駅構内に表示し、協力を呼びかけている。

北アルプスを望む長野県松本市の山岳観光地・上高地などでホテルを経営するアルピコホテルズの担当者は、「外国人客が増えればルールを守らない人も出てくるだろう。母国とは対策が違うことを丁寧に説明したい」と話す。

原文出處 讀賣新聞