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時評

矢板 明夫:台湾有情 忠烈祠で「初詣」

元日早朝。「初詣」のために家族と一緒に「旧桃園神社」を訪れた。台北から南へ高速道路で約1時間。桃園市郊外の虎頭山麓部にあり、緑に囲まれた鳥居、石灯籠、本殿、拝殿などは日本の神社と全く同じだが、現在の名前は「桃園忠烈祠」。殉職した軍人や警察官、消防士を祭る施設となっている。

日本統治時代、「一町一社」と称して台湾全土で神社建設が促進され、各地に約200もの神社が設置された。しかし、中国国民党政府が台湾を支配するようになってからはほとんどが取り壊された。「日本帝国主義が台湾を統治した痕跡を消す」ためで、最も有名な台湾神宮の跡地には、中国風建築「圓山大飯店」が建てられ、今は台北市のランドマークの一つになっている。

「忠烈祠」になった桃園神社だけが運良く難を逃れた。台湾メディアによると、地元政府は何度も「取り壊し案」を検討したが、地元住民や学者らの猛反対で断念したという。李登輝時代の1994年、国家三級古跡に指定された。

この「神社」に日本の神様はもういないかもしれないが、台湾各地に在住する日本人が「初詣」にやってくる。

神殿に祭られている台湾の軍人らの位牌(いはい)に手を合わせ「台湾海峡の平和」を祈願した。

原文出處 產經新聞