JA和歌山県農などは、同県特産の「和歌山のたねなし柿」に含まれる成分の柿タンニンにLDL(悪玉)コレステロール値を低下させる作用があると発表した。大学と連携した臨床試験で実証し、機能性表示食品として消費者庁への届け出も完了。機能性を表示した販売が可能になり、JA県農は「消費拡大につなげたい」と期待している。
和歌山県内は令和4年産の柿の収穫量が4万2千トンで44年連続日本一の産地。柿の消費拡大につなげようと、JA県農などは平成27年に対策事業協議会を立ち上げ、ビタミンCなど柿に含まれる成分の健康機能性の科学的なデータ収集に取り組んでいる。
柿タンニンはポリフェノールの一種で、苦味の成分。県産の柿の収穫量の大半を占めるたねなし柿の柿タンニンに着目し、大阪公立大や近畿大、サプリや化粧品などを手掛ける民間企業などと連携して令和2年12月~3年7月、臨床試験を実施した。
試験では、コレステロール値が高めの人らが、柿を粉末にした食品で、1日に柿1個分にあたる2・1グラムの柿タンニンを12週間摂取。血液検査で4週間後以降、コレステロール値の低下がみられたという。
試験に携わった鈴木利雄・大阪公立大客員教授らによると、LDLコレステロール値が高くなると動脈硬化を引き起こす可能性があり、日常生活で柿を食べることで予防につながるとしている。
対策事業協議会長の沢井壮兵・JA紀北かわかみ専務は「今回の試験結果で柿の価値が高まった。消費拡大に向けて機能性もPRしていきたい」と話した。
原文出處 產經新聞